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着物好きが育てたら、着物好きな娘になったので…

今度は着物好きの息子を育てようと企んでいます。娘に着物を着せたくて、独学で和裁を始めました。子どもの浴衣や着物のことや、着物でのお出かけなどについて書いていこうかなと思います。和裁についてはまったくの独学なので、おかしなところもあると思います。参考にされる場合はご承知くださいませ。

夏着物・浴衣を選ぼう! 『ジャパンブルー』藍染めの浴衣いろいろ

  

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今や浴衣はとても色鮮やかで華やかですが、今回は、ちょっと渋いけどやっぱり素敵!藍染めの浴衣をご紹介します。

 

 


藍色:ジャパンブルー


 

サッカーの日本代表チームの歴代ユニフォームは藍色(あいいろ)ですね。

 

ちなみに歴代ユニフォームの中でも人気のある、2018年時点のユニフォームには「勝色」(かちいろ:鎌倉武士に愛好された色だそう)という藍色の中でも深く濃い色が採用されていました。

 

個人的にも、日本らしくていい色だなと思います。

 

サッカー日本代表とともに歴史を刻んだ歴代ユニフォーム | 【公式】アディダスオンラインショップ -adidas-

 

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さて、ジャパンブルーという言葉は、明治時代に英国人科学者ロバート・W・アトキンソンが初めて記したのが由来になったと言われています。

 

日本にやってきたロバート・W・アトキンソンは、人々の衣装や店の暖簾など、いたるところ青色が溢れているのに驚いたということです。

 

※この記事をリライトするにあたり、ロバート・ウィリアム・アトキンソンが記したとされる『藍の説』という文章を探しましたが、見つけられませんでした。定説として流布していますが、原著にあたってみたかったので残念です。

 

そんなことで、ヨーロッパなどでも、古くから青は日本を代表する色として知られているのだそうです。

 

何か当時の様子を想像できるような絵でもないかしら…と思って、浮世絵を見てみました。

 

浮世絵師が青色を好んで使用したということもあるようですが、何だかみんな青い着物を着ているではないですか。

 

ただし、浮世絵師が用いたのは、西洋からもたらされた『ベロ藍』と呼ばれる人工顔料で天然の藍色ではありません。

 

それでも、何となく藍色あふれる当時の日本がイメージできますね。

 

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北斎

 

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広重画

 

さあ、藍染の浴衣が着たくなってきましたね。どんどん見ていくことにしましょう!

 


藍染の浴衣


 

竺仙・本藍染長板中形の浴衣

竺仙公式サイトによりますと、長板中形」とは

長さおよそ三間半(約6m50cm)の樅(もみ)の一枚板に生地を張り、小紋よりは大きめの模様が彫られた中位の大きさ(約40cm角)の型紙を用いて、表と裏別々に糊置きを行い表裏の両面柄がぴったり合ったことを確認後に藍甕(あいがめ)で浸染染め(しんせんぞめ)を行った中形(浴衣)を指す言葉です。表裏の柄合わせがきちんとできていることを「裏が返る」と申し長板中形の真骨頂です。

http://www.chikusen.co.jp/product/variation/

 
この緻密な柄を両面別々にぴったり合わせて染めているんですね!まさに職人技の逸品です。
 
 

 

徳島県の名産「正藍阿波しじら織」

徳島県は、藍染原料の産地としても有名です。しじら織は縞模様のイメージがありましたが、水玉模様など意外とポップな柄のものもあるんですね。

 

しじら織は、木綿の着物地としても一般的なので、真夏の暑い時期は浴衣として着て、それ以外はひとえの着物として着られます。

 

 

長板中形正藍染重要無形文化財「初山寛」さん作

何て美しいのでしょうか。両面に異なる柄を染めることもできるんですね。

 

 

京友禅手捺染の浴衣

「京好み」といった華やかな浴衣地です。白地の部分が多いと随分と雰囲気が変わります。ぼかしが効いていて涼し気です。

 

 

有松絞りの浴衣

立体的な絞りの柄が面白いです。絞りの浴衣は、この立体感のおかげで肌にはりつきにくく、涼しく着られます。

 

有松絞りも最近は藍色だけでなく、とても色鮮やかで素敵なのですが、それはまた別の機会にご紹介したいと思います。

 

 


藍染・本藍染正藍染??


 

藍染でややこしいのが、藍染めって書いてあったり、「本藍染」やら「正藍染」やら…何が違うのだろうかと思いますね。

 

これについては「正確にこうです」という決まりはないようで、混乱の極みですが、調べたところによりますと、だいたい以下のように区別できるみたいです。

 

  • 藍染:藍で染めている。原料は天然藍とは限らず、化学染料の藍も含む。
  • 藍染(ほんあいぞめ)藍染めのうち、原料に天然の藍を使用しているもの(ただし、化学染料の藍を一部含む場合でも「本藍染」と呼ぶ場合がある)。藍の醗酵(「藍を建てる」というそうです)には、苛性ソーダなどの化学薬品を使用する場合が多い。
  • 正藍染(しょうあいぞめ)藍染めのうち、天然の藍を原料とし、藍の醗酵にも灰汁(あく)などの天然の材料のみを使用する。

 

正藍染は手間もかかりますし、日本の藍染め全体の1%にも満たないのではないかということです。

 

ここで厄介なのは、呼称に特別な規制があるわけでもなく、販売店側も特に本藍染正藍染を区別していない場合もあるので、正確なところはわからないということです。

 

すべて天然材料の藍染めにこだわりたい!という方は、伝統工芸士さんなど作者の銘が入っているとか、染元の情報がトレースできるようなものを選ぶとよいかもしれません。

 

いかがでしたか?

 

次の夏までに浴衣をお仕立てしたい!とお考えでしたら、5月中に注文することをおすすめします。夏が待ち遠しくなってきましたね。

 

 

 


記事『夏着物・浴衣を選ぼう!』へのリンク


 

夏着物・浴衣を選ぼう! 江戸好み VS. 京好み

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